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Jun 13 2023

特定非営利活動法人 ぎふ村


常務理事 小笠原理人さま
ぎふ村温泉デイサービスセンター施設長 小林薫さま



ー Q. 施設の特徴や魅力を教えていただけますか。

A. 何ができないかではなくなにができるかに目を向けることを心がけております。介護の世界では当たり前のことでも実際の介護現場では簡単なことではありません。なぜならば介護の世界では危険がたくさんあるからです。例えばお餅はつまりやすいから食べるのはやめよう。杖でしか歩けないから転んで 骨折したら大変なので、遠くへ行くのはやめよう。 確かに事故は誰だって避けたいものです。しかし私は高齢者の方のおいしそうにお餅を 頬張る笑顔も、杖で遠出をして戻ってこられた時の誇らしげな後ろ姿も知っています。なので、この施設では危ないからしないのではなくできるだけやって みる。そんな施設づくりをしていきたいと思っています。

ご入居者の皆様には人生最後の一瞬まで自分のしたいことを続けてもらいたい。新しい、楽しい経験もたくさん味わってほしいのです。ご自宅よりも施設を選んでよかった。職員全員でそうした生活を実現するお手伝いをさせていただきたいと思っています。私も含め職員はまだまだ未熟です。ご家族の皆様のお力をお貸しいただければ本当に嬉しいです。







ー Q. 介護の業界に入られたきっかけを教えてください。

A. 小林さま
看護師として病院で15年ほど働いていました。元々4世代家族として曽おばあちゃんっ子だったので、介護施設で働きたいというのはありましたが、まずは看護師としての経験を積むために病院に勤めました。病院は治療する場所であって命が最優先になるんです。それこそ危ないことは一切ダメ。そういうことが起こらないためにはどうするのかということがメインで、治療をした後の生活につなげていくためにどうしたらいいのかというところまではなかなかできませんでした。介護の世界に入った最初の頃は、かなりのギャップを感じました。介護保険制度についても、病院では深い知識は必要ありませんでしたので、知識が浅く、施設でご家族の方に質問されても答えられないことばかりでした。施設で働き出してから、介護保険の勉強も沢山し、その後ケアマネージャーの資格も取りました。

また、施設でケアプランを立案する際に、優先順位の高い順に計画、目標を立てていくのですが、「生活の質を上げる ための目標」を一番優先順位の高いところに立ててくる 介護職員さんたちが周りにいて。病院の看護の時では考えられ無い、 新しい発見やギャップなども色々ありました。

小笠原さま
35歳まで弁護士になりたいと思っていたのですが、結局司法試験に受からなかったのです。たまたま父親が介護施設をやってたので、やってみないかという話になって、というスタートでした。変な言い方に聞こえてしまうかもしれませんが、僕が選んだ道ではなく、導かれるままにきたという感じです。逆に、変なこだわりはないので、例えば、来てくれる利用者さまがいいなと思っていただけるものを提供するといったようなスタンスにさえ立てば、こんな風変わりのキャリアの人間でもやっていっていいんじゃないかなと思います。

一番最初にこの世界に入った時に、ほぼ寝たきりの高齢者の方のおへそのごまを取ってと言われた時に、随分違った世界に僕は来たなぁと思ったのを未だに覚えています。逆にこういう世界もあるんだと思いました。中学校の男友達が高校を出て介護施設に就職した人がいたのですが、僕らの世代では珍しかったんです。大学や専門学校行くといった人ばっかりだったので、友達の一人が 介護施設に就職したと聞いた時、驚いたんです。まさかその世界に自分が入ることになるとは思ってもみませんでした。  



ー Q. ご入居者さま、利用者さまとの心に残っているエピソードをお聞かせください。

A. 小林さま
最初に岐阜村に入った際に、デイサービスで働かせていただいていました。大きな車を運転し、車椅子の方を含め5、6名の利用者の方を女性一人で送迎に行かなければならないのは結構なプレッシャーでした。ただ、利用者さんたちがいっぱい助けてくれるんです。ここ行った方が近いよ、こっちの方が広いから通りやすいよ。といった言葉をかけてくださったり、助手席にいつも乗車してくださる方が、「最後まで一緒にいてあげるから大丈夫よ。」と励ましてくださったりするのです。一度、冬場の帰りの送迎で、あたりが真っ暗になった時に車ぶつけてしまったことがありました。施設に帰ってきた時に、理事長が待っていて、「利用者さんは大丈夫だったか。君は大丈夫なのか。」と、怒るのではなくそう聞いてくれて、「よかった。」って言ってくれて。 自分が働いてる職場ののトップの方が そういった声をかけてくれたことが本当に 嬉しかったです。

小笠原さま
ある女性の高齢の方から、「お坊ちゃま。いい話あるけど聞いてみる。」と言われました。人生において、愛情と健康とお金、どれが一番大事か順番つけてくれと言うのです。愛情、健康、お金の順番だと答えたらね、「残念でした」って言われたんです。「お金で愛情は買えるけど、健康は買えないでしょ」と話すのです。「1番がお金では買えない健康、2番目がお金。最後が愛情だ」と言われた時、人生85年の時にそんなこと考えてるんだと思ったらなんだかおかしくなってしまったのです。その後もとても可愛がってくださっていたのですが、少し経った後にその方が突然亡くなってしまったのです。その方のお話を僕はずっと忘れられなくて。ただ、もし僕がその人と会えたら、やっぱりお金じゃなくて愛情だったよと伝えたい。あなたが僕に与えてくれたのが愛情で、それ以外のお金や健康も結局その人は消えてしまった訳じゃないですか。 だけど愛情がずっと僕の中にあっていつも顔が浮かぶというのが、その人が教えてくれたことで。 やっぱり人と人の愛情が最後まで 残るよね。ということを未だに忘れられずに思っています。



ー Q. 日々心がけていることを教えてください。

A. 小林さま
3つあります。

1つめは、お天道様は見ている。ということです。何かあったとしても、絶対に見ててくれるから、いつか報われる。と思っています。

2つめは、頼まれたことは、すぐに「やります。できます。」と答えること。一瞬ためらう、考えるということは、自分の損得をその時に考えている。と教えてもらってから、心がけています。

3つめは、負の感情にとらわれそうになった時には、「私この人のこと大好き、ありがとう」と言うようにする。ということを心がけています。

小笠原さま
部下を持つ立場として、「あなたのためを思って言っている。」ということは絶対に言わないようにしようと心がけています。これは、「自分のためを思っている。」ということの裏返しになってしまうので。



ー Q. 今後のご展望を教えて下さい。

A. 小林さま
施設でアニマルセラピーを行えるようにしたいと考えています。

高齢者の方は自宅で寂しくてペットを飼っていらっしゃる方が多くいらっしゃいます。入居の際に、ペットを置いていかずに、共に入居できる施設を作っていきたいと思っています。

小笠原さま
常に皆さんに愛される施設づくりをやっていきたいということです。法人では入居施設とデイサービスを運営しているのですが、その中間の部分、ショートステイ、小規模多機能施設、グループ ホーム等を充実させ、ぎふ村に1度来てくれれば何でも対応できますよ。となるようなことをやっていきたいと考えています。

また、介護をやる人が介護の仕事ってすごくいい仕事だなと思ってくれる人を一人でも多く作らなければいけないと思っています。介護の担い手は今後どう考えても足りなくなります。介護の仕事はこんないいところがあるんだよといういうことを、その人たちの思ってるところに持っていくのが僕らの仕事なのではないかなと思ってます。一人でも、介護をやる気になったという方を作っていくことが大事なんじゃないかなと思ってます。それが大きな意味で日本のためになると思っています。





【施設紹介】
法人名:特定非営利活動法人 ぎふ村
施設名:NPOぎふ村特定施設中津川
所在地:〒509-9132 岐阜県中津川市茄子川中畑112-177