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APR 22 2026

リハビリを担う多職種が
多面的な視点から生活課題を解決する


北海道リハビリテーション学会 会長
北海道大学病院 リハビリテーション科 教授
WHO国際分類協力センターネットワーク ICF改訂諮問委員会 共同委員長
向野 雅彦さま




ー Q. 貴学会の沿革と目的を教えてください。

A. 当学会は1963年、リハビリの研究の発展と推進をめざし、北海道肢体不自由者(児)リハビリテーション研究会設立総会として発足、66年に現在の名称となりました。理学療法士をはじめとするセラピストはもちろん、医師や看護師、MSW、技師装具士、教員といったリハビリに関わる多職種で構成する全国的にもめずらしい組織です。

というのも、リハビリの目的は機能回復を図ることはもちろんですが、当然、回復しないケースもたくさんあります。ならば杖や装具などの道具をどう活用するか、環境をいかに調整するか、さまざまな場面や段階で専門職が介入し、最終的に生活上の困りごとを解決していく必要があります。各々が得意分野を持ち寄って知恵を出し合い、解決を図っていくというのは非常に意味のあることだと考えています。



ー Q. どのような活動を行っていますか。

A. 主に年一回、学術集会を開催するほか冊子を発行しています。学術集会は、次の大会で70回を迎える歴史があります。ここ数年は、ロボット技術を活用したリハビリ研究、脳波や神経信号を読み取って解析・伝達するブレイン・マシン・インターフェイス(Brain Machine Interface)といった、先進的なリハビリへの関心が高まっています。最新のリハビリ機器を導入しても診療報酬上のメリットはほとんどありませんが、人材不足をはじめ広域分散型かつ積雪寒冷地といった課題が山積する北海道だからなのか、そのような技術を積極的に取り入れる医療機関は比較的多い傾向にあります。







ー Q. 注視しているテーマについて教えてください。

A. これまで、食事や排せつといったADL(日常生活活動動作)上のリハビリは、在宅復帰や在宅生活を継続する意味でも大きなテーマです。しかし近年では、老々介護や独居高齢者が増加していることにより、その困りごとは家事や買い物、金銭管理などADLにとどまらない範囲まで顕在化しています。普段、高次脳機能障害の支援拠点でもある北海道大学病院のリハビリテーション科の医師として臨床現場に立つなか、ADLには支障がなくても就労や生活上の課題を抱える患者さんも多く訪れます。

明らかに生活の困りごとの質が変化しているなか、一つのカギとなるのが国際生活機能分類(ICF)です。疾病による生活への影響を多面的に評価する枠組みとして、世界保健機関(WHO)でも採択された分類方法であり、私が長く研究してきたテーマです。



ー Q. ICFはどのように活用されているのでしょうか。

A. ICFは生きることの全体像を示す共通言語と解釈されているもので、健康状態や心身機能、環境による影響の評価を表す分類方式です。必要性は指摘されながらも、概念が複雑であることなどから現場でなかなか普及してこなかったのですが、ようやく推進するためのマニュアルなどが形になってきたところです。  

病気を抱えながら仕事にも従事している人、病気のなかでも呼吸器疾患を抱えている人、といった一人ひとりのバリエーションに応じた枠組みを、各学会や職能団体にも協力を得ながら整備していく予定です。ゆくゆくは当学会においても議論を深めていきたいと考えています。  



ー Q. 展望を教えてください。

A. 特有の課題が山積する北海道のなかで、どう患者さんの生活を成り立たせていくサポートができるか、真剣に取り組んでいきたいですね。  



ー Q. ありがとうございました。





【学会紹介】
法人名:北海道リハビリテーション学会
所在地:〒060-8648 札幌市北区北14条西5丁目