
学校法人西野学園
理事長 前鼻 英蔵さま
ー Q. 学園の沿革と教育理念について教えてください。
A. 1965年、「西野桜幼稚園」を札幌市西区に開園したことがはじまりです。当時、そのあたりは農村地帯でして、一家総出で農作業に励む家庭が多かったことから、子どもを預ける保育園や幼稚園が必要とされていました。
「探究・創造・貢献」の3つの心を兼ね備えた医療・福祉人材の養成を教育理念とし、「札幌医学技術福祉歯科専門学校」「札幌心療福祉専門学校」「札幌リハビリテーション専門学校」「せいとく介護こども福祉専門学校」の4校で9学科を設けています。
ー Q. 2024年10月に「せいとく介護こども福祉専門学校」と統合されましたが、初の保育士養成に取り組むそうですね。
A. はい。2027年度から、「こども総合科」を開設予定です。こちらは、提携している短期大学ならびに大学との併修によって、保育士資格、幼稚園教諭1種・2種、小学校教諭1種免許が取得できる全国でもめずらしいカリキュラムです。これは近年、社会課題にもなっている幼児教育と小学校教育との接続をねらった北海道内初の取り組みです。幼児期発達特性や学びの連続性を踏まえていない小学校教育は、子ども一人ひとりの発達段階に応じた適切な教育を不十分にさせ、不登校やいじめ、学習の遅れといった諸問題を引き起こす恐れが指摘されています。日本は長年、教育システムが変わっておらず、G7のなかでも遅れをとっていることを憂慮していましたが、今回このようなカリキュラムが認められ、チャレンジすることにしました。
幼児教育では単に学力を高めることよりも、コミュニケーション力や意欲といった〝非認知能力〟をいかに養うかが大切です。これは発祥にもなった当幼稚園がいち早く導入したモンテッソーリ教育としても、不可欠な学びになる能力です。これからますますAI技術が発展していくなか、人間でしかできないことのベースとなる能力はほぼ非認知能力です。実学的な学びを通して、教育していきたいと考えています。
ー Q. 農福連携ソーシャルワークコースも北海道発となるカリキュラムです。
A. 働き先が不足している障がいのある人と、人材不足が著しい農業関連の仕事を結び付け、雇用の創出やサポートを行う社会福祉士を育成するコースです。当事者として学ぶ学生も受け入れているのですが、福祉の資格を取得し、支援をする側として社会に参画することによって自立した生活も後押しします。とはいえ、まだまだ認知度が足りないため、多くの人に意義を訴えていきたいと思います。
振り返れば通信制の看護科2年過程も、2005年に北海道内でいち早く開設したカリキュラムでした。当時、准看護師資格を持ちながらいつかは看護師になりたいと考えている方は多くいらっしゃったと思いますが、家庭を持ったり、転居したりとライフステージが変わってしまうと、なかなか難しいのが現実です。そこを通信制で取得できるわけですから、反響はかなりのものでした。「カリキュラムができて感謝しています」と方々から声をかけていただいたり、卒業後に病院の看護師長や副院長になって活躍している方もいて、必要性を実感しましたね。
ー Q. 新しい取り組みにともなって教員の方々のスキルも問われそうです。
A. 教員の授業力の向上には、時間をかけて取り組んできました。専門学校の教員は、現場出身の方が大半で、教壇に立って授業を行うのはここがはじめてになる方がほとんどです。実践的なスキルは十分でも、教える力は個人差があったり、自身が受けてきた授業の延長線上になってしまうきらいがあります。そのため当学園では、毎回授業後に小テストを実施して学生の理解度を確かめるほか、専任教員同士が授業を見学する「公開授業」や評価を行う「授業検討会」などを実施しています。実習授業においては、学生が「できる」ことを視覚化した到達度評価表「できるシート」も運用して〝教える力〟を養っています。
人事評価制度の導入や管理職によるマネジメント教育体制も構築しましたが、決して完成ではありません。教育にはゴールがありませんから、常にブラッシュアップが必要だと考えています。
ー Q. 展望をお教えください。
A. 当学園として第1章、第2章を経て、現在は第3章のフェーズに突入したと感じています。正直なところ、ここまでの少子化は想定しておらず経営判断を狂わせたといっても過言ではないと思っています。国内の出生数は70万人を割りましたが、このままいくと2030年には50万人台まで減るはずですから、この厳しい環境下でどう生き残っていくかを考える時期に来ているわけです。
さしあたって、外国人留学生については介護スタッフになる方がほとんどですが、将来的にはコメディカルスタッフとしての役割も大きいと見込んでおり、育成に注力していくつもりです。これからも常にアンテナを張って、当学園としてできることに取り組んでいきたいですね。
ー Q. ありがとうございました。